2006-01-01から1年間の記事一覧

歳暮の句を読んだ

月一での古典散策『芭蕉七部集』を読む会も最後になった。来年からは道元である。C講師は阿羅野、続猿蓑、炭俵から「歳暮」の句を選び、それを読む。まず頭は古今集からの短歌を二編紹介される。 あらたまの 年のをはりに なるごとに 雪も我が身も ふりまさ…

対立軸のない困難

肘枕をしながらつらつらと考えていたら、窓の外を流れる雲が、人生のように思えてきた。 なにをつらつら考えていたのかというと、一昨日のレクチャーについてである。茂木健一郎ゼミのゲストスピーカーとして気鋭の複雑系科学者池上高志氏が「一回性の問題」…

俳句でエール

茂木健一郎×黛まどか対談。 まったく予備知識なしに行ったのだった。まず俳人まどか嬢の若さと美しさに「あらら」となる。てっきり歌人かと思ったが、俳句を作られている方だった(恥)。そして旅をしたり、芭蕉を手本にしていると聞き、俄然興味ひかれる。…

2002・6・1

このところ必要に迫られ資料(紙類)の整理、破棄をしている。そんななか、はらりと変色した紙片が出てきた。2002年の新聞記事。ファイルされなかったものだ。見出しには<福田長官「核持てる>とある。内容はというと 当時副官房長官だった現総理安倍晋…

だらだらと考えた

登録とか申請といった公的書類を書くのがとても苦手である。大抵どこか書き損じるからだ。昨日はほぼ一日そんな書類を埋め、そんな話を聞いていた。相手の方の仕事ぶりをみていて、私にはとてもできない仕事だといまさらながら思わされる。 帰りにやっと近く…

防衛大臣

「いじめ自殺や履修問題でゆれる教育現場に政府は教育基本法改正をぶつける」と新聞コラム氏が表現している。 では防衛庁から省への昇格問題は何とぶつけているのだろう。拉致など北朝鮮脅威問題か。気がつかない(あまり騒がれない)うちに、法案が衆議院通…

慣れない

四方田犬彦氏のコラムにこんなことが書かれている。 わたしが11月中旬に沖縄に滞在していたころ、現地の新聞は、1990年代からこの方、軍用機が劣化ウラン材を320kgにわたって無断で沖縄に持ち込んできたというニュースで大騒ぎだった。東京に戻ったわたしは…

栗のいがと放下

昨日のつづき 行あきや 手をひろげたる 栗のいが 芭蕉 これも絵が浮かんできそうな秋の句である。芭蕉の故郷は栗の産地。 栗のいがが開いている。はじき出て、実はそとにある。そんな情景を、実をこころととらえ、こころを外に出し、いがで囲まれた身体を包…

へばりつく木の葉

月一の古典散策の会。今年は『芭蕉七部集』 まつ茸や しらぬ木の葉の へばりつく 芭蕉 芭蕉は言葉で描く景色ばかりではなく、そこにとても深い読みが含まれているとC講師はいつも説く。これもまつ茸を(待つだけ)と。木の葉を(言の葉)と捉える。 本来なら…

「ちぇっ!」と思って進む

茂木健一郎×佐藤可士和×住吉美紀鼎談。 住吉嬢はNHKのアナウンサーで、佐藤氏は新進気鋭のデザイナー。大手企業飲料、携帯、店舗などのデザインをしている。その二人をゲストに迎え、ホスト茂木健一郎という趣向だ。街に出た「プロフェショナル」といったと…

みんなで作る

万華鏡というものはいったいどういう過程で生まれてきたものだろうか。考えれば不思議なことである。民芸店などで見たとか、お土産にもらったとか・・かなり昔から親しんでいたもの。今だに親しまれているようだ。というより、流行りなのかもしれない。 それ…

強要なき愛

知人からの案内で、ダライラマの講演を聞きに行った。ちょっと高額だったけれど、私への誕生日プレゼント。朝が早いので、ホテルに前泊。いつもより早めにチェックイン。持参した本をじっくり読むことができ、満足な夜。 読んだ本は医学者であり、哲学者の澤…

愛の強要

unaのスペースで、憲法のことから、いろいろ考えてみようという試み。教育基本法改正が目の前。そこで国を愛するということについて、考えあった。 北海道出身の人は、北海道人としての感覚はあるが、日本としてあまり感じはないという。本州に住む感覚と少…

りんの音に耳を澄ます

朗読ゲームの会で読んだ『石垣りん詩集』 時々手にとって読んでみたくなる詩人である。 読んでもらったのが朗読の上手な詩人君だったので、一言一言こころに入ってくる。どんな声で、どんなトーンで読まれるかで、まったく印象が違ってくるね。 読まれたのは…

うちに仏を彫る

<秋雨に 焚くやほとけの けずりくず 蘭更> unaで月一で開いている古典の会。枕に紹介された句である。 参加者に、お連れ合いを亡くされたばかりの方がいらしたので、講師は哀悼の意味を込め、『芭蕉七部集』「釈教の部」を選んでくれた。 仏像を彫っていて…

空き地と安全地帯

週末は体調不良のためダウンしていた。 伏せっていて見れなかった番組をビデオで観る。ETV特集、椎名誠氏の絵本の旅である。 お連れ合いが絵本作家ということもあり、部屋らしきスペースには絵本がたくさん広げられていた。『だるまちゃんとてんぐちゃん』『…

THE SUN

見逃したアレクサンドル・ソクーロフ監督の「太陽」。近くでやっていることがわかり、観に行った。 ロシア監督の撮った終戦前後の昭和天皇。それだけで観たいと思っていたが、日本では無理とも思っていた。それが日本上映の要望多く、日本側で買い付けたとい…

関西方面へ

忘備録: 9-30 松岡正剛「千夜千冊全集」刊行イベント。毎回濃密で時間オーバーは常である。ついチケット売り場の人の言葉を信じてしまったのは迂闊であった。unaでの企画に完全に遅刻だ。焦りながらも1114冊のテーマ分けされた千夜千冊の再編集。熱き想…

子どもに媚びない文化

知人Aさんが、山折哲雄『「歌」の精神史』を読んでの感想を書いていて、その中に北原白秋「金魚」が紹介されていた。 「金魚」 母さん、母さん、どこへ行た。 紅い金魚と遊びませう。 母さん、帰らぬ、さびしいな。 金魚を一匹突き殺す。 まだまだ、帰らぬ…

自分を透過させる

翻訳家柴田元幸。翻訳ものまで手が回らず、彼の作品はエッセイ程度しか読んでいないのだが、発起人のひとりであった、春樹本翻訳の国際シンポジウム以来、親しみを感じていた。その時、翻訳のおもしろさも知った。そんな折り、内田樹氏との翻訳対談の情報が…

編集以前

いわゆる文章などの編集にはまったく縁遠かった私だが、いま「編集」ということに、多大なる関心を抱いているのは、松岡正剛氏の影響である。「日常のすべては編集されている」と言われたこと。「編集工学」論である。 いま、編集する自己が自己なのであり、…

同属と他属

茂木脳講座の科学文献。前回は是枝対談だったが、その前は動物の社会的知性(Social Intelligence)について。例えば、チンパンジーは学習能力はあるが、人に対してのソーシャルスキルは犬の方があるという論文。「主人の目の動きで気持ちがわかる」といった…

当事者研究は一人ではできない(3

(つづき) べてるという名称も随分広まってきたとは言え、説明するのはなかなか難しい。川村医師はいまは「当事者研究」のべてるという位置付けをしようとしているようだ。べてるとはもともとキリスト教の「神の家」という意味なので、他にも名前が使われて…

医師の当事者研究

unaスペースで、べてる*1のビデオを見ての感想に「調子が悪い時の様子が、いつもビデオに映し出されている本人とはまったく別人だったので、驚いた。お金のあるなし、仕事の多忙により、そのプレッシャーから症状が悪くなるなんて、なんて繊細なのだろう」と…

当事者研究という視点

また日が空いてしまった。あたかも夏休みの宿題のように、厄介なものがあると、そこで安易なものに流れ、エネルギーのいるものがどんどんたまる。実際の季節も9月に入った。記憶から消えないために、早く。などと思いながら絵に描いたようなパターン。 ココ…

間に潜む魔物問題

「誰も知らない」の是枝監督×茂木健一郎 是枝氏との対談を楽しみにしていた。静かな語り口。相手の言葉を充分からだに入れて話すような“間”。真摯な振るまい。食事会で対面したが、ミーハーな自分の気持ちにブレーキがかかり、なかなか思うように話すことが…

桜の国と薔薇の国

昨日、会う約束をしていた知人が体調不良でキャンセルとなった。同年代の女性だが、急に耳が聞こえなくなったという。義妹は来月手術だというし、連れ合いはドックでいくつかひっかかったという。私自身も季節が動いたとたん(?)体調不順。キャンセルで依…

愛と憎は対

太田光・中沢新一『憲法九条を世界遺産に』を読む。思いもよらぬ展開で、一気に読んだ。 「対談のまえに」の中沢氏によると、長くメル友であった、お笑いコンビ爆笑問題のこの頃の言動に、勇気と叱咤を受け、対談を希望したらしい。彼は一人ラッパを吹く太田…

戦略としての物語

unaスペースでのイベントは月末に集中する傾向にある。昨日今日と連チャンで3件の行事。朗読ゲームの会。いつもながら読まれた文章は多彩で、知らないものばかりだった。 奥村隆『他者といる技法』、田中聡『不安定だから強いー甲野善紀の世界』、天木直人…

東京原発

連れ合いが休みの間、あまりに暑く、混雑も避けたかったので、結局たいしたところに行かず、家でグダグダ。青年から借りていた「東京原発」を観る。 監督脚本は山川元。都知事役の役所広司をはじめ、段田安則、平田満、田山涼成、岸部一徳、吉田日出子、菅原…