空き地と安全地帯

週末は体調不良のためダウンしていた。
伏せっていて見れなかった番組をビデオで観る。ETV特集椎名誠氏の絵本の旅である。

だるまちゃんとてんぐちゃんいたずらきかんしゃちゅうちゅう (世界傑作絵本シリーズ)しばてん (田島征三)100万回生きたねこ (講談社の創作絵本)みんなうんち (かがくのとも絵本)からすのパンやさん (かこさとしおはなしのほん (7))おおきなかぶ
お連れ合いが絵本作家ということもあり、部屋らしきスペースには絵本がたくさん広げられていた。『だるまちゃんとてんぐちゃん』『いたずらきかんしゃちゅうちゅう』『しばてん』『100万回生きたねこ』『みんなうんち』『かばくん』『からすのパンやさん』『おおきなかぶ』・・・あるある。


懐かしい絵本がたくさん紹介されて、うれしくなった。戦後子どものためにと福音館が、月刊でペーパーブックを復活させた。当初は昔ばなしばかりだった。それでも当時の一流の画家が絵を提供している(「赤い鳥」運動と似ている)。

そして最初のオリジナルストーリーが『ぐりとぐら』だった(絵はまだ画学生だった妹さん)。ぐりとぐら [ぐりとぐらの絵本] (こどものとも傑作集)先日亡くなられた長新太氏(ペンネームは長身だったから?)の『きゃべつくん』キャベツくん (ぽっぽライブラリ―みるみる絵本)。ナンセンス漫画家だった彼が、ナンセンス絵本を作った。どれもよく読んで聞かせたものである。


椎名氏はモンゴル映画「白い馬」を制作している(昔、自主上映会やりましたよ)が、そのときに見た二重の虹をかつてどこかで見ていて、だがどこだったのか思い出せずにいた。それがあるとき絵本の『スーホーの白い馬』であることがわかる。脳裏の隅で消えずにいたのだ。


そして椎名氏が子どもたちへの読み聞かせとして、特に取り上げたのは北欧民話『三びきのやぎのがらがらどん三びきのやぎのがらがらどん (世界傑作絵本シリーズ)。これは我が家の子どもたちも格別なお気に入り。怖いけれど好き。何度読まされたかわからない。毎回毎回胸をドキドキさせながら聞いているのだ。そして彼自身が好きだと言ったエッツの『もりのなか』。エッツは私も大好き。もりのなか (世界傑作絵本シリーズ)
「そうそう、うちもおんなじ・・・」とか「それ私も好き!」とか、画面に向かい一人会話している。


なぜかそこに茂木さんが登場(露出頻度高いですなぁ…)。
読み聞かせのときには、親のひざだったり、腕の中だったり、いわゆる子どもの安全地帯が確保されている環境。だから彼等は安心して絵本の中の冒険へと旅立っていけるのだと言う。「心の安全地帯」は彼の支持する理論である。


そして、焚き火をしながらお二人は「絵本は子どもにとっても大人にとっても空き地のような存在ではないか」というようなことを語りあう。「脳にとっての空き地か・・。そうかもしれない」と私も思う。


ここで、ふと思う。いま現実には空き地といっても囲いとか、立ち入り禁止札などがあって、簡単に「空き地体験」もできない状況にあるのかもしれない。で、せめて脳内の空き地・・・。それもなんだかさみしい話ではないか。