2004-01-01から1ヶ月間の記事一覧

中空に漂う言葉たち

阪大教授の哲学者鷲田清一氏の新聞記事「疲れても聴かねばならない」からすこし長いけれど、引用しようと思う。 聴くというのは、だれかが別のだれかの言葉に耳を傾けるということである。語る者と聴く者、その双方がそろっていないと、聴くということは成り…

幸せになる責任

教育評論家の斎藤次郎さんが新聞での相談に乗っている。いつも彼の暖かい言葉には、子どもへの真の思いやりを感じて、こちらのこころもほっとなる。今回は名前も年齢もわからない子どもから「もう限界、死のうと思っている」という手紙。母親に言葉とからだ…

生きるための智恵

チェトンミンさんという韓国籍の方を古くから知っている。在野の研究者だが、もともとは宗教学の留学生として来日。語学堪能、フランス哲学も詳しいが、なんと言っても日本の古典にメチャ詳しいのだ。日本語を学ぶうちに古来の日本語に興味を持ち、研究に没…

大学を開く

神戸女学院大学教授内田樹氏のHPの愛読者である。ちょっと「すごいな」と思うことがあった。いま、まさに卒論の季節。内田教授のホームページには、提出された卒論が載っているのだ。しかも全文である! 教授の指導を受け、苦戦苦悩して提出した、いわば学び…

まねる

高野文子ファンの榎本ナリコという漫画家は、高野さんのマンガを全部丸コピーしたことがあるそうだ。塗りつぶしも全部。1ページだけで1時間半かかった。自分の作品は30分なのに・・と、高野さんの仕事の緻密さを言っている。そのエネルギー、すごい。し…

熱き熟年

ずーっとロックマガジンを発行している人物、渋谷陽一氏をひさびさに新聞記事で拝見。52歳になるという彼は、季刊『SIGHT』を発刊した。「大人の屁理屈と対抗するのは、青臭い正論しかない。ロックという永遠に青臭い青春的音楽を看板とする出版者の役割は…

クール&ホット

昨日は、姜尚中・宮台真司トークセッションに行く。いま姜×森巣博の『ナショナリズムの克服』を読んでいるが、姜さんの生い立ちは壮絶だ。1950年生れという年代の上に、在日、しかも両親が北と南の出身という厄介な生育環境。時代の波をもろに受け、いま…

キラキラ

野口晴哉という人物がいた。自身がからだを何とかしようとする力を信頼してからだのことを研究していた人。野口整体の創始者である。いまは『整体入門』・『風邪の効用』が出ている。その野口氏を尊敬し、影響を受けたという寺門琢己氏の話を聞いた。彼も診…

少女は空想の世界を遊ぶ

『ユリイカ』特集高野文子(2002・7月号)を読んでいる。おもしろい。「へぇ、そんなことだったの・・・スゴーイ」と感心することしきり。彼女の作品をまた引っ張り出してみる。なんたって執筆人がすごい。マンガの世界には疎い私だが、知っている異分野の人…

七草

あっという間に七草である。マーケットに七草の買出し。昨今は野に摘まずとも、お手軽セットが売っている。かなり割高だし、安易かなと、ちょっと躊躇したが、買ってみることにした。いつもは大根、かぶにセリくらいで、あとは人参や菜っ葉類でごまかすが、…

初笑い

日暮里まで“初笑い”に出向く。奇しくも昨年を落語で締め、今年を落語で始めることとあいなった。懇意にしているW嬢が落語に熱心で、特に立川談春をひいきにしている関係で情報が入りやすいのだ。今回はとり。初体験が独演会だったのでどうしても情が湧くと…

深刻と滑稽

年末に借りていたビデオを家人と観る。「ノー・マンズ・ランド」。昨年映画館で観そびれてしまったもの。紛争中のボスニアとセルビアの中間地帯で起こる惨劇。監督はボスニアの出身ダニス・タノヴィッチ監督。ボスニア側の兵士とセルビア側の兵士が、塹壕で…