「選挙2」を観る

暑い!意を決して家を出る。それ以上に「観たい」という気持ちが勝っていたのだろう。初日にと思っていたが、整理券がもう夜しかないという情報。諦めた。平日だから、混んでいてもそこそこだろうと思っていたら、すでに立ち見だった。次回まで待てず、おばさんは決意した(大げさだが年齢的には冒険)。

開演前に想田和弘監督、主演(?)の山内和彦氏と政治コント集団ニュースペーパーの福本さんが得意の安倍さん役で登場。ラッキー!さて、今回の舞台も「選挙」と同じ川崎区宮前区。前回は自民党公認落下傘候補。典型的などぶ板選挙で、当選。一期務める。今回は完全無所属で、選挙カーの連呼ナシ、握手ナシ。ポスターとはがきとチラシのみ。

時は2011年4月、そう3・11直後の地方選挙だ。福島原発では大変な事故が起きているというのに、どの候補者も原発のことに全く触れないことに、怒りを感じての立候補だった。前回から山内氏は父親になっていた。そして脱原発の立場から「子どもにツケをまわさない!」という標語だけをかかげた。

想田監督はドキュメンタリー作品を「観察映画」と称し、モザイク、ナレーション、バック音楽を使用していない。どれも長時間を費やしているが、長さが全く気にならいくらい、集中(没入)してしまう。今回もゆるい空気感であったにもかかわらず、あっという間だった。

今回の山さんは、前述のように活動らしきものをしていない、唯一の告知であるポスターの剥げをひたすら補修して回る。あとはギリギリまでのはがき書きである(それも限度枚数未満で終了)。必然的に?監督は他の候補者を被写体としていく。それぞれの候補者の姿が映しだされていく。これは後々、貴重な情報になっているなと思った。候補者との間にそれぞれのエピソードが生まれている。

山さんは演説しないの?と待ちわびていると、最後に駅前で10分の演説をする。それもやっと確保した場所で。その脇で息子くんが夢中で何かになりきって遊んでいる(多分戦隊もの)。「あ、このシーンで監督は編集軸を見つけたのかな?」と思うくらいナイスな映像だ。そして彼は演説を始める。「〜僕に投票してくれなくてもいい、でも選挙には必ず行ってください!それが民主主義の一歩なのですから」…完全無所属というこだわりと、この言葉に、グッときた。

因みに一緒にチラシを配っていた竹田候補(若い!30歳くらい?)は前作の「選挙」を観て、選挙スタイルを改め、みんなの党から離党し、辻立ちとチラシのみで当選している。しかも山さん(8万円くらい)より低額の4万円台!さらに驚くべきはトップ当選だったそうだ。
イイね!ボタンがあったら押したい気持ち。

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