深刻と滑稽

年末に借りていたビデオを家人と観る。「ノー・マンズ・ランド」。昨年映画館で観そびれてしまったもの。紛争中のボスニアセルビアの中間地帯で起こる惨劇。監督はボスニアの出身ダニス・タノヴィッチ監督。ボスニア側の兵士とセルビア側の兵士が、塹壕で取り残される。いわば穴の中の敵同士という切迫した状況。その上地雷爆発の危険をも抱え込む。外の世界はその状態を救おうとする多人種連合軍。

穴の中の閉塞感は事態を深刻化させ、外の世界は多事情が絡みあい滑稽さを増していく。最後は人間の内面に持つ自身の地雷を爆発させ、無駄な死を重ねるのだ。多大な犠牲を払いながら、全てが無意味に終わる。その滑稽。そのことこそが、今の世界を象徴している気がする。

いい映画だった。が、映画は映画館に限るなぁ。そして映画は一人がいいかも。私の場合は、であるが。好きなだけのめり込める。