幸せになる責任

教育評論家の斎藤次郎さんが新聞での相談に乗っている。いつも彼の暖かい言葉には、子どもへの真の思いやりを感じて、こちらのこころもほっとなる。今回は名前も年齢もわからない子どもから「もう限界、死のうと思っている」という手紙。母親に言葉とからだの虐待を受けているらしい。「母が言うように、生まれてきてはいけなかった人間なのです。死んですべての臓器を病気で苦しんでいる人にあげたい。友達はいますが家のことはなしていない。疲れた。助けて・・・」


次郎さんはまず「死ぬな!」と強く言う。「できるお手伝いをしてあなたの味方になります。生きていてもいいことない、なんてウソ!です。あなたも本当はそれを感じているけれど、思い込もうとしているのでしょ? 会えなくても手紙のやりとりはできるでしょうから、相談しながら、“いいこと”を探しましょうよ。
それから辛いときは誰かに話すだけで気持ちが軽くなるということも、覚えてください」。


そして最後に「魚一匹食べたら一匹分幸せになる責任が人間にはあるんです。ブタだってサンマだって、あなたを幸せにしたくて、命を捨ててくれたんですよ」。次郎さんの一生懸命の言葉が伝わり、涙が出る。


このごろ胸が痛くなる事件ばかり。こんな言葉を届けられる大人が傍にいたらどうだったのだろう…。