わかっちゃいるけど・・・
グループで、日本の古典を読んでみようとはじめたのはもう4、5年は経ったと思う。といっても、決して古典に明るくなったのでも、読みこなせるようになったわけでもない。時々に講師を囲んでみんなで読み合い、それぞれの生活に重ねながら語ったりしているだけである。それでも現在の生活の視座とでもいうのか、世界の見方の変化を感じている。習熟度も問われず、着地点も決まっていない、誰に強制されることもない「学び」である。とても貴重な場だと思っている。
今年は貝原益軒さんの『養生訓』である。一応テキストは一年でいったん終わりとしているが、健康観や健康的暮らしのことに具体的に触れているので、話がわき道にそれたり、健康談義で盛り上がったりと、なかなか読み進まず、来年も同じテキストを続けることになった。どんなテキストでも、取っ掛かりであり、それを介して結局人間の本来に迫ることになっていくのがこの会の常であるのだけれどね。
それにつけても、益軒さんの言われていることは、江戸時代に書かれたにもかかわらず、現代の食生活への警鐘になっている。逆に言えば江戸時代も現代のように飽食の時代であったのだろうか…。肥満や胃けいれん、下痢、精神的なものなど現代と同様の病があったようである。彼は再三、米食を中心とした粗食をすすめている。「わかっちゃいるけど〜」の世界だったのだろうなぁ。もちろん現代とは種類や量などベースがだいぶ違っているだろうけれど。飽食は万病のもとだそうで、注意しなくっちゃね。
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