wholeとして捉える

辻信一×上野圭一著『スローメディスン』大月書店
辻氏はスローライフを、上野氏は自然治癒力をそれぞれに広めた人たちだ。対談に行き購入した。すっごく軽い本(物理的に)。そのうえソフトカバーで、持ち歩きにはしごく都合がいいのだった。中身も軽いと言えば軽いのだが、想像とは違うおもしろさで読んだ。というのは最初に辻信一氏がアンドリュー・ワイル氏の翻訳者である上野圭一氏の経歴を聞いていくスタイルで、彼の生い立ち出会いなどが語られていく。当時活躍していた日本や海外のなつかしい人物の名前が次々登場してきて、それが、そのままオルタナティブな文化ムーブメントの歴史と重なっていく。ともに70年代に米国暮らしを経験している。自分自身が彼らの名前をほとんど知っていたことに驚いた。特にオルタナティブな暮らしをしていたわけでもなかったのに・・・


それこそ、そのころ思ったことだが、ヒト、世界を分けて捉えることの限界を感じ、wholeとして捉える考え方に惹かれていた。世の動きとしても、やっとホリスティック(全人)医療という言葉も聞かれるようになってきている。本の最初に健康を意味する「health」も癒しを意味する「healing」ももともとは全体を意味する「whole」から派生した言葉だと紹介されている。バラバラになっているものを丸ごとの身体としてまとめる、それが健康という意味合いだと。そういう上野氏の提唱する医療思想とスローをつながりと訳してスローなライフスタイルを提唱している辻氏とが出合ったことで、よりwholeという捉え方が近づいた感じを受けた。まさしく医療も生活スタイルも人間関係も地続きだということである。個人的なことでは、お二人とも以前から面識はあったのだが、本の中に知人の名が複数登場してそれにも驚いてしまった。


スローメディスン―まるまる治る、ホリスティック健康論 (ゆっくりノートブック)

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癒す心、治る力―自発的治癒とはなにか (角川文庫ソフィア)

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「ゆっくり」でいいんだよ (ちくまプリマー新書)

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