いま、この一冊

ハイデガー=存在神秘の哲学』古東哲明(講談社現代新書

どれだけの時間、ぼくたちは今日、この世の光景をみつめたろうか。
ぬけるような青空に、どれだけ深くみほれたか。地べたの存在を、どれだけ感じとっただろう。他者がそこにいる。その<いる>ということそのことを、どれほど身近に感じたか。のみならず、こうしていま地球上に生きているご自分の存在を、どれだけ間近に感じたろうか。三日月の切っ先に視線を飛ばしたか。セミしぐれに身を浸したか。ビルが路上に落とす影の存在に、目をひらいたろうか。
つまりは、この宇宙が生起する現場に、どれだけリアルに立ち会ったか。

ページを開いたとたん、こんな文章が飛び込んできた。ぐいぐいと言葉に引き込まれる。のっけからこんな感触を覚えたのは久しぶりというかはじめてかもしれない。 とりあえず書き留める。

ハイデガー=存在神秘の哲学 (講談社現代新書)

ハイデガー=存在神秘の哲学 (講談社現代新書)