5年経過

ホームレス支援誌『ビックイシュー』の100号&5周年記念パーティに参加する。ゲストはいまや超売れっ子の茂木健一郎氏。unaスペースでもビックイシューの協力を考えている関係で、メールが来るのだ。他に香山リカさんなどゲストも豪華。茂木氏はイギリス留学のときからビックイシューの活動に興味を持っていて、日本版の特別副編集長などもやったことがあり、刊行に協力的である。彼の話は日常や個人に落とせる内容なので、いつも面白い。持論は変わっていない。

たとえばミラーニューロン。乱暴に言ってしまえば、「他者の痛み(感情)が自分の痛みのように感じられる」。ミラーニューロンは、つまり他人の心を読み取れる能力。他人と柔軟にコミュニケーションする、人間の驚くべき能力を支えていると考えられる。人間の本質は、他人とコミュニケーションをする社会的知性として顕れている。しかし、個性の発揮と他人との協調が相容れないとする意見があるが、それは脳科学の視点から見れば間違い。個性は、むしろ他人との関係性においてこそ磨かれる。他人の心という鏡に映った姿を通して、私たちは自分の本性を知るのだと言う。従って、脳の中の鏡で大いに個性を磨こうといった話。

ホームレスの人たちも、雑誌を売ることで、人と話をする機会ができ、気持ちが前向きになれると言っている。最後にイギリスでこの動きを始めた方が来日していて、壇上に上がった。テーブルは4本の足で支えられている。病気や貧困という3本足になってもなんとか支えられるが、もし2本足になったらもう自分を支えられない。その足としての支援をしていきたい。そんな話だった。

寄付文化のない日本では難しいだろうと思うが、5年、100号出し続けられたということだけでも祝う意味がある。読み物として、内容はもちろんおもしろい。