健康の行政診断
昨年あたりから急激に「メタボ」という言葉が多用されだした。成人病はいまは生活習慣病と言われ、特に内臓脂肪型肥満がその一因であるとされた。そこでメタボ症候群として、ウエスト85cm以上という基準を作った。それがだんだん公的な存在となり、世間的にも動きが目立ってきている。
そんな気がしていたところに、精神科医の斉藤学氏が新聞コラムにてメタボ検診についての動きに触れている。彼は医療者なので、役所など公的な動きがよく見える立場にある。
彼は、メタボ検診が制度としていつの間にか強制力を持ったものになってきたことに関して、気持ちの悪さを感じている。国が健康保険組合や国保運営者(自治体)に実施させ、その受信率で高齢者医療の支援金を増減するというのだそうだ。つまり結果的に強制となる。それで、関係者はピリピリしているという。
斉藤氏もばかな基準と言っているが、そもそも腹囲85cm以上という基準に信頼性を感じない。一律に腹囲の数値だけで線引きしてしまっていいものか。もともとやせ方体質とか、もともとぽっちゃりタイプとか。その人の適当値があると思うのだが。一からげに判定されてしまうのは、どうなのか。
しかし、医師会などは、その制度で収益を確保しようと案をねるのに夢中であると斉藤氏は嘆き、今の医師会はまるで行政の下請け機関に見えると手厳しい。
価値観、健康観も多様な昨今、操作的な制度によって動かされるのは、ちょっと窮屈である。