老いのバランス

この夏脱水症で入院して以来
義母は独り暮らしを諦めた

90歳をとおに越えても
好んで独り暮らしを選んだ

点滴生活から
徐々に徐々に回復し

嚥下も
摂食も
排泄も
できるようになった
それでも身体能力は格段に低下した

精神はすこぶる健康でも
からだがままならない
歯がゆいことだった

義兄宅からリハビリに通い
自立歩行ができ
おしゃべり相手もでき
食欲も旺盛になり
体力がついてきた

ところが
今度は精神が萎えてきた
好奇心が薄れ
ジョークが減り
集中が続かなくなった

身体と精神が
同じ歩調で老いる

それが案外
むずかしいことなのだと
気づかされる

おひとりさまの老後

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老いるということ (講談社現代新書)

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