投票日に逝った人

早朝、自公民党惨敗のニュースとともに、小田実氏の訃報。

論座』8月号で小田実氏の言葉が掲載されていた。末期がんであることを公表していた小田氏が病床から「死ぬ前に言っておきたいことがある」というタイトルで語っているのだ。写真の顔はまだまだお元気そうだったのだが…。

彼が憂慮することのひとつは、いまの日本の空気が昭和16年(1941年)にとてもよく似ているということ。戦争突入時、戦争中は特に生活がガラリと変わるわけではない。普通のありふれた日常のなかで進行し、決定されていく。戦争体験のある彼の皮膚感覚なのだろう。

もうひとつは、ナチスドイツが民主的だったワイマール憲法を棚上げにしていった課程とも似ているということだ。安倍首相は雄弁的なヒットラーとは違うが、曖昧でうやむやのうちに、やりたいことは着々とやっている。前総理とは逆のタイプだがことは進行しているのだ。小田氏が「少数権力委任法」と名指す国民投票法は、少数でも改憲ができる仕組み。

そして、いま市民に求められることは、自分で考え、一人ひとりが政策を持つことと言う。小田氏らしい言葉でしめくくられている。自身でも教育の政策を書き、これから福祉の政策を手がけるところだったらしい。その前の発病。だから6月出版した『中流の復興』は遺書のようだと言う。

7月30日午前2時5分没。はて、選挙結果を待っての旅立ちだったのだろうか・・・合掌

何でも見てやろう (講談社文庫)

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中流の復興 (生活人新書)

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