追悼河合隼雄さん

今日は体調が悪く一日伏せっていたのだが、夜にはなんとか19日に亡くなられた河合隼雄氏の追悼番組を見ることができた。ある会でお話を伺い、気さくに言葉をかけてもらってから、程なく倒れられたのだった。

文化庁長官という肩書きなど感じさせないほどフレンドリーでびっくりした。そして、関西人らしくユーモアのある、そして心理の臨床家らしい受容のまなざし。しかしながら、厳しさと深さを感じさせるまなざしでもあった。またいつかお会いできたらと願っていたのだが・・・残念なことだった。

番組の内容は、国際フォーラムと各分野の方々との対談であった。
国、文化、宗教、年代の違いを越えたコミュニケーションを説き、実践されていた方だったのだなぁと改めて思う。文化庁という国政の長官の、柔軟さと聴く姿勢と、遠く未来をみる視線…

これがたった2年前のフィルムだとは思えないくらい。いまの政治の現状を思うと、大きな距離を感じてしまう。当然地道に動いている方はいるだろう。だが、見えてくるのは文化の低いことばかりで・・・

「もったいなかった」。そう感じた。政財界にも学術の世界にも、河合さんのような人材は、なかなかいないのではないだろうか。まだまだこちらの世界に居てほしかった人。ご冥福をお祈りします。

こころの処方箋 (新潮文庫)

こころの処方箋 (新潮文庫)

こころの声を聴く―河合隼雄対話集 (新潮文庫)

こころの声を聴く―河合隼雄対話集 (新潮文庫)

村上春樹、河合隼雄に会いにいく (新潮文庫)

村上春樹、河合隼雄に会いにいく (新潮文庫)