日常における創造性

作品展のお知らせをいただいていながら、うっかり最終日手前。友人と銀座まで。
程よい大きさの画廊での三人展。知人は本間一恵さん。なんでもない荷造り用の帯状紙テープを組んで折っていくプレイティングという技法。彼女が作り出す立体の空間がとても面白く、何度か拝見している。最初見たときの作品は、裏か表か、裏が表か・・・まるでクラインの壷のような空間の立体だった。

それの基本(単位)ともいうのは一本の帯状テープの結び。言わば一筆書きのその端をつないだループ。「プレイティングのタネ」という今回の作品はその一筆書きのタネが何十種類も壁に連ねられていた。

そのテープが数本並びになり、つなぎ目が複数になる・・・すると閉じられた幾何学的立体になったり、曲線的立体になったり、名づけようのない立体になる。たぶん科学的な計算式であらわそうとしたら、超難解な代物だろう。しかし、基本は組むという上下、上下のくり返しなのだった。

先生にあたる関島久子さんは世界的な作家さんで、桜の皮など樹皮を使った作品。学生さんだという方は金属のテープを実際に折っていく作品。紙と樹皮と金属、まったく違った質感。だが基本は同じ、世界の女性が受け継いできたバスケタリーの手法なのである。買い求めた冊子には一筆書きの図とそこから進化発展していった作品が解説されている。幾何学的立体がだんだん変容して曲線になり潰されていくと、つまりは布の使用状態に重なっていくのだ。スゴイ。日常における創造性のとてつもなさ。

かご・バッグ・雑貨クラフトテープで作る―基礎&実用作品 (Heart warming life series)

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