団塊世代の実体

このところ2007年問題とか、なにかと団塊の世代に関する話題が多い。商戦のターゲットにもされているらしい。大抵は海外旅行だとかセカンドハウスだとか、悠悠自適でゆとりある老後をスタートさせるだろうというニュアンスである。

そんな風評に疑問を呈している新聞コラムがあった。
2007年に多量退職者が出て、人事政策の危機は杞憂だという。すでにバブル崩壊の後始末に早期退職を迫られているからだそうだ。そして多額の退職金を手に入れるという件。そういう人は大企業の一部。例えもらったとしても、住宅ローン返済が残る。そして老後、医療費、年金の目減りなどを考えると、贅沢な消費は期待できない。

もう一つは時間の余裕ができ、世の中を変えるという期待も怪しいと言う。大半は経済的理由でまだ働くだろうし、年老いた両親を抱え、介護に時間を取られる人も多いだろう。団塊の世代であるコラム氏は毎日登場する話題が実体と乖離している気がして、どうも違和感があると書いている。

商魂たくましく待ち構えている向きには申し訳ないが、コラム氏の方が実感がわく。確かに一部には悠悠自適でリッチな生活を送る人たちがいるかも知れないが、大半はそうはいかないだろう。各自がいろいろな事情を背負い、事情はそう単純ではない。

団塊格差 (文春新書)

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