青春の軌跡

3月20日に行った内田樹×平川克美対談。
彼らは小学校の同級生で、平川氏と中学からの同級生I氏は会場となったカフェのオーナー。70年代に翻訳会社を起業した3人である。気心知った仲間なので、トークは普段から話している感じだそうだ。とは言え、軸がしっかりしているお二人、話題はあちこちに飛んでも、それぞれに味わい深いものばかりだ。


今の世相や株式会社や資本主義の話が一段落して、平川氏は内田氏に映画と本の話題を振った。お互いにベスト3を挙げよというもの。
内田氏のベスト3。文学としては『細雪

細雪 (中公文庫)

細雪 (中公文庫)

、『我輩は猫である』、作家名として「石川淳
石川淳評論選―石川淳コレクション (ちくま文庫)

石川淳評論選―石川淳コレクション (ちくま文庫)

を挙げた。平川氏は「ジャコメッティ
ジャコメッティ

ジャコメッティ

、「堀田善衛
めぐりあいし人びと (集英社文庫)

めぐりあいし人びと (集英社文庫)

、「武満徹」の名を挙げた。


谷崎を出したので「ずるいなぁ」などと言われていたが、内田氏は本当に谷崎潤一郎の文体が好きで影響を受けていると説明。関西に赴任して行ったときに、迷わず住居を芦屋に構えたのも、その影響だという。そして北杜夫の名前も出てきた。


「それぞれに、いいねぇ、わかるなぁ、その気持ち」という感触。好きな人も何人か出てきて、うれしくなる。平川氏は詩人になりたかった人で、同人誌なども手がけ、若き日に秀逸な芸術論も書いているという。


映画ベスト3。内田氏は「麦秋」など小津映画と「ウエストサイド物語」。平川氏は成瀬巳喜男浮雲」、ブルースリー、「エデンの東」。「われ等青春」といった感じで、彼らの来し方を思う。