青春の軌跡
3月20日に行った内田樹×平川克美対談。
彼らは小学校の同級生で、平川氏と中学からの同級生I氏は会場となったカフェのオーナー。70年代に翻訳会社を起業した3人である。気心知った仲間なので、トークは普段から話している感じだそうだ。とは言え、軸がしっかりしているお二人、話題はあちこちに飛んでも、それぞれに味わい深いものばかりだ。
今の世相や株式会社や資本主義の話が一段落して、平川氏は内田氏に映画と本の話題を振った。お互いにベスト3を挙げよというもの。
内田氏のベスト3。文学としては『細雪』
- 作者: 谷崎潤一郎
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 1983/01/10
- メディア: 文庫
- 購入: 3人 クリック: 32回
- この商品を含むブログ (82件) を見る
- 作者: 石川淳,菅野昭正
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2007/03
- メディア: 文庫
- クリック: 2回
- この商品を含むブログ (10件) を見る
- 作者: 矢内原伊作,宇佐見英治,武田昭彦
- 出版社/メーカー: みすず書房
- 発売日: 1996/04/20
- メディア: 単行本
- 購入: 3人 クリック: 39回
- この商品を含むブログ (16件) を見る
- 作者: 堀田善衞
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 1999/09/17
- メディア: 文庫
- 購入: 2人 クリック: 3回
- この商品を含むブログ (6件) を見る
谷崎を出したので「ずるいなぁ」などと言われていたが、内田氏は本当に谷崎潤一郎の文体が好きで影響を受けていると説明。関西に赴任して行ったときに、迷わず住居を芦屋に構えたのも、その影響だという。そして北杜夫の名前も出てきた。
「それぞれに、いいねぇ、わかるなぁ、その気持ち」という感触。好きな人も何人か出てきて、うれしくなる。平川氏は詩人になりたかった人で、同人誌なども手がけ、若き日に秀逸な芸術論も書いているという。
映画ベスト3。内田氏は「麦秋」など小津映画と「ウエストサイド物語」。平川氏は成瀬巳喜男「浮雲」、ブルースリー、「エデンの東」。「われ等青春」といった感じで、彼らの来し方を思う。