述懐

暑くて頭も働かない。やっと一部をまとめる。

芭蕉七部集』を読む会の報告。今回は<述懐>

きゆる時は 氷もきえて はしる也 路通の歌からはじまる。
参考に
夏の夜や 崩れて明けし 冷やし物  芭蕉

夏の夜の句会が明けると、一晩のうちに宴に用意された冷やし物は崩れてしまっていたという句だが、冷やし物はそうめんとか水菓子という。そこにC講師は生命という崩れやすいものを重ねる。崩れないためには、常に冷やしておく必要があると。生命を冷やし続けるための“それ”を感じ取り、“それ”に近寄る。そんなことを感じさせる歌であるということ。

冷やすとは醒ます(wake)に通じる。逆は「熱い」、「眠らせる」となり、「腐る」につながる。
なるほどねぇ。そうつなげていくと、味わい深くなる。からだも腐るこの暑さ…

路通の歌は庵をたたみ、雲水として漂白の旅に旅立つときの歌。はしるは、川の流れの中に消えていくこと。

 一本の なすびもあまる 住居かな 杏雨

これは西行「とくとくと落つる岩間の苔清水 汲みほすほどなき住居かな」を意識して作られた。西行を慕う芭蕉もとくとくの清水を訪ねていて 

「露とくとく 心みに浮世 すすがばや」と詠んでいる。ひとり身を寄せる住まいゆえ、水を汲むほどのことはないと西行。杏雨は一本のなすびもあまるひとり暮らしを詠む。

侘びというよりわびしいという感じが強くする・・・