喚起を促すツール

月一の朗読ゲーム。
読んだ文章は:
ロイド・カーン『ホームワーク』/米原万理『真夜中の太陽』/三木のり平『のり平のパーッといきましょう』/Webより『イラン大統領から米国大統領への書簡』/橋本治『ぼくたちの近代史』/長新太絵本『くるぞくるぞ』/『THE BIGISSUE』より「貧困編」/宮沢賢治『農民芸術論』/島田裕巳『信じやすい心』/『88ーアイヌ長老の教え』etc.

感想に「内田隣太郎『くるぞくるぞ』絵本。未知の現象(森のズシンという音)に対して、キツツキやキツネは独自に想像を膨らませ、それを信じきってしまい、再びの「ずし〜ん」で、気絶してしまう。これは滑稽だが深い。」 というのがある。絵本は受け手如何で、広がりをみせるのが、いい。

「人それぞれの幸福と、世界全体の幸福。人それぞれという枠の中にくくられ、「それぞれでしょ教」になってしまったとき、それぞれではなくなって、実は画一になっている。」これも示唆深い感想。いま「人はそれぞれでしょ」という個性尊重の時代になった。が、しかし、本当に個性なのか、というと甚だ疑わしい。個性的に見えるという画一。ただ勝手に振舞うわがままと混同されている傾向にあるんじゃないか。

毎回思わぬ文章と出会う意外性が楽しみだが、その感想から喚起されるものもまた興味深い。勝手な思い込みの暴走する怖さと、それぞれという多様性の画一。そして、読まれた米原万理さんと長新太さんは先日訃報を聞いたばかり。残念な思いを抱く。