ニッポンチャチャチャ

赴任先の連れ合いに電話をした。久しく海外出張していたからで、留守中の報告である。何分も話さないうちに「入れられた!」という声。先方はサッカー観戦しながらの電話であった。時々応答がなくなる。しばらくして「また入っちゃった」という声。電話をした時点では1−0で日本が優勢だった。「あなたと電話していると、点が入れられる」とでも言いたげである。そそくさと電話を切る。

その日、たまたまラジオであの『国家の品格国家の品格 (新潮新書)藤原正彦氏がしゃべっていた。「サッカー応援と愛国心とは別でしょう」。にわか愛国心に過ぎない。祭りだからそれでいい、と。

それを受け彼は「愛国心」は手垢がついていて、国益といったナショナリズムと同様に解釈されてしまうので、もうその言葉は使わないことにしたと話していた。その言葉は祖国愛、郷土愛、文化愛として変換。

その指摘には賛成。だが極めて日本人的な心情として、愛、愛と声高に言われることに、抵抗がある。そもそも感情なんて押しつけられるものではないでしょう、という・・・。