人間の持つ力

『9条どうでしょう』9条どうでしょうの文章を読んで以来、気に入っている町山智浩〈映画の見方〉がわかる本80年代アメリカ映画カルトムービー篇 ブレードランナーの未来世紀 (映画秘宝コレクション)のブログ。

過去ログを繰っていたら、こんな言葉に出会う。映画「ヒストリー・オブ・バイオレンス」監督クローネンバーグ氏のインタビューを引用したもの。「現実というのは一つではない。現実は人によって違う。人間は自分にとって現実だと信じたい現実しか信じない生き物だ。モラルも一つではない。自分に都合のいいようにモラルを解釈する。教会で『汝、殺すなかれ』という聖書の教えを奉じ、中絶に反対するキリスト教徒が同時に、戦争や死刑制度に賛成する。だから人類は殺し合いをやめることができないだろうと思う。でも、だからといって、殺し合いのない世界を想像することをあきらめてはいけないんだ。不可能なことを信じるのも、人間だけができることだから」

最後の言葉が沁みてきた。人間の持っている、絶望の中でもあきらめないで居られる力。