連歌の世界

今年から『芭蕉七部集』をC講師の道案内で読むことになり、連歌の世界を覗いているのだが、まあ、江戸の庶民の文化程度はたいしたものだといまさらに思う。いまより情報が取りにくかった状況にも関わらず、連歌にはいろいろな関係や隠喩が織り込まれている(そのぶん探求できたのかもしれないが…)。

本日は冬の日の三段目。
Cさんが解説書をコピーしてくださったのだが、それを読むのだけでも大変なことだった。量的にもだが、第一漢字が読めない…。

それでも発句にまずこころ揺れる。
【つつみかねて 月とり落とす しぐれかな  杜国】

その前置きに[つえをひく事僅に十歩]とある。

僅という一瞬の“とき”とつえをひく間の十歩。一瞬のことでありながら、また長いことでもあるつえの一歩。情景が浮かんでくる。
そのあとに「月を取り落とすしぐれ」とあり、しぐれの雲も月を包みきれずにいたのか、それとも一瞬の通過するしぐれが包んでも、じっとある月は包みきれるものではないと言うのか…。通り過ぎるものと、ずっとあるものの対比。絵が浮んできそうだ…などなどといろいろな仮想が通りすぎる句だった。

人の句に付き合いながら、さまざまな暮らしのシーンが読み込まれていく。今後じっくりと江戸町人の文化を味わえるようになるといいのだが・・・。