プロフェショナル

NHK番組「プロジェクトX」の代わりに「プロフェショナル」がはじまった。茂木健一郎氏が司会をするというのでビデオで見た。実は期待していなかった。が、意外におもしろかった。

負債に苦しむ老舗旅館を活性化する人を追った。彼は軽井沢の老舗旅館の跡取り。大学卒後アメリカで経営学を学び帰国し、意気揚揚と若い経営者となる。ところがアメリカ式経営マニュアルでバリバリやるが、気がつくと従業員がどんどん辞め、1/3になっていた。アメリカ式マニュアルのトップダウンのやり方を猛省することになる。

まず、どうしたら社員を確保し、辞められないかということを考える。そして到達したものが、各自が自分事になる、フラットな関係作りだった。トップがTシャツという服装はいまめずらしくないが、社長室はなく、空いている社員の机を使う。書類は無い。パソコンに収納するのみ。

その結果業績をのばし、彼はいま全国の旅館、ホテルの立て直しに奔走する。彼のスタイルは、会社の存在の姿、コンセプトをみんなで考えあい、同意し、共有する“場”を作ること。それを体験すれば、あとは従業員一人ひとりに任せる。「旅館に働く社員はみんなお客に悦んでもらいたいと思っている」ということを信じて。何をみて進もうとしているのかを共有すれば、あとは自然に道はひらけるということだ。

私もそんな視点でずいぶん考えてきたものだが、そういう考え方はいまあちこちの分野に見られるようになってきた。閑古鳥だった旭川水族館の例もアイディアは担当に任せた結果だ。プロジェクトXは過去の成功例だが、今回は「いま」の模索。

素材の何にフォーカスするか。茂木氏の視点が反映している気がした。