身体の言い分を聴く

何やってんだか…青山に行くために下北で乗り換えて渋谷に向かったが、実は上原で乗り換えて行けたのに…。ボケが続くなぁ。

現代思想内田樹×三軸修正法の池上六朗氏の対談に行ったのだ。身体(からだ)の言い分会場は満杯になったが、早く着いたのでいい席がとれた。お二人の対談本『身体の言い分(からだのいいぶん)』刊行記念のイベントである。池上六朗氏を初めて拝見。70歳直前だということだが、お若い。それになんだかとってもやわらかい雰囲気をお持ちだ。三軸修正法という独自の治療をしている。若き日、世界中を航海したという彼が意外なおもしろさ。内田氏の主治医でもある。

池上氏の治療に話が及び、いきなり「“さっきと違うことをする”とか“さっきじゃないことをやる”だけなんですよ」などと、身も蓋もないようなことを、笑いながらおっしゃる。また、例えば腰が曲がった人を無理に治すと、周りの人が影響を受けて、歪んでしまうと言うのだ。その人がそのままが楽なんだから。それでいいのに、それを無理にまっすぐにすると、バネのような戻りのエネルギーがでてしまう。で、周りが影響されて、人々は息苦しくなる。病気は自分だけじゃないのだと。そうかもしれないと思うが、会話にも何度か登場していたように、そういう癒し方は“呪術”の部類に入るかもしれない、などと思った。野口整体にも近い気がする。

こういったもの言いが、いまはまっている生物学者池田清彦さよならダーウィニズム (講談社選書メチエ)にどこか似ているなぁと思いながら聞いていた。二人の距離は遠いはずなのだが…。しかし、その感覚は意外にあたりかもしれないと、本を読んでわかった。

そもそも内田、池上両氏の出会いは偶然に偶然が重なって起きたこと。池上氏が内田樹著『寝ながら学べる構造主義』を読み、この人物はなかなかだと直感し、関西在住の内田氏の近くにいる弟子の三宅氏に、ぜひ内田氏に会うようにと連絡をしてきた。するとたまたま講習会をしていた会場の隣が内田氏の住居であり、しかも次週、同じ会場で彼が講演することになっていた。つまり内田氏の構造主義に共鳴する池上氏と、生物学界において構造主義を唱える池田氏は低層に共通のものを持っていることは容易に推測できる。それに池上氏は松本に在住し、東京に出てきて治療をしているのだという。松本と聞いて急に親近感が沸いてきた。

電車のなかで早速本を広げる。