実現できなかった作品を見る

四方田犬彦氏がwebマガジンで親交深かった相米慎二監督について書いていた。最後にこんな言葉が目に止まった。「知っていることより、何を知らないかを知ることだ」ということはよく言われることだが、映画でも同様の視点を持って観ている人がいるんだ。

わたしはつねに一人の映画監督の全体を見究めるためには、彼が実現できた作品とともに、実現できなかった作品のことを視野に入れなければいけないという立場をとってきた

ということで、その実現できなかった相米作品とは武田泰淳の『富士』富士 (中公文庫)だった。おもしろそうだ。どんな感じになったのだろう。56歳でこの世を去って3年経つという。