続かないでよ、訃報

晴れて、暑いくらいの日。半そでで外出。すっかり桜は散り、青葉が目立つ。桜に合わせるように散った若者がいる。ここでも何度か書いているが、『32歳ガン漂流ーエヴォリューション』の奥山貴宏氏である。知人のメールで訃報を知り、日記を公開しているWEBサイトに急いで駆けつけると、16日付けに「死にたくないなぁ」という言葉。多量のコメントが寄せられていて、がんばってメールが、途中からお悔やみの言葉に変わっていた。切ない。

彼は2002年12月から余命2年という宣告より、4ヶ月長く生きたことになる。小説を書きたかった彼は処女作『ヴァニシングポイント』ヴァニシングポイント発売の4月14日を待って逝ったんだ…。夢は実現した。本屋で自分の作品を見ることまでは叶わなかったが、最後の最後まで「書く」と「発信する」を貫いた。見事だった。

同じサイトで四方田氏が岡田史子追悼を書いていた。伝説の『COM』に17歳でデビューした天才漫画家。いまや円熟した作家になっている女性漫画家たちは、彼女に触発された人が多いらしい。55歳だったそうだ。もうひとつ、中野の「クラシック」と言う傾いている古家の喫茶店が閉店という情報。それらの訃報に、ショックを受けている。喪失感のような、切ないような…。その思いから気持ちが離れない。