Ellsberg’s Paradox

先日の茂木健一郎脳講座の最新資料はneuroeconomics(神経経済学)の文献だった。そんな分野があることも知らなかったが、その中にEllsberg’s Paradoxという事例があり、興味深かった。全文英語故読解不可。従って、聞いた言葉だけでの理解範囲である。悪しからず。
lottery(かけ)の問題。壷の中には青、赤、黄色のチップ?が90入っている。青は30個。赤と黄色は合わせて60個。その割合は不明。

まずケースその1:その中から青か赤を選び、選んだ色を引けばどちらも100ドルもらえる。さてどちらを選ぶか。大抵の人は青を選ぶという。
さて、もう一つ。ケースその2:今度は青と黄色の組み合わせを選ぶか、赤と黄色を選ぶかの選択。やはりともに当たれば100ドルもらえる。そうなると、大抵は赤と黄色の方を選ぶというもの。その実験結果には納得できる。妥当な結果だ。

しかし、ここで少し考えて見ると、行動に矛盾が生じるというのだ。
1の例で言えば、青を選んだということは、不明な赤(60−X)<30と想定した結果である。つまりX(黄色)>30
2では青と黄色は30+X。赤と黄色は60個。ここで赤と黄色を選んだということは、30+X<60と判断したからではないか。その式から言うと黄色X<30。
ここで1の時に判断した黄色X>30との間に矛盾が起きてくる。

つまり経済的側面(損得)からみると、人の行動に矛盾が生じるというわけなのだ。得をしようと思いながら、損をする方を選んでしまう振る舞い。
私も同じ振る舞いをする方だと思う。感情的にXという未知数に不安感を抱くからである。この場合は少し考えればわかることだが、それでもイヤなのである。多少不利でも確実な方を選んで安心したい。しかし、そうでない人もいる筈。Xを負(マイナス)と見るか、正(プラス)と見るか。山っ気のある人、ギャンブラーはXが∞に見えるのではないか。限りあるはずが、無限大と思い込む。そこにまた経済学的に矛盾した振る舞いが起きてくる。

経済学の理屈通りにはいかない、ヒトの行動。神経科学や心理学などの分野からみれば、ある意味当然の行為だったりする。それぞれの分野からの切り口を統合する作業が必要ではないかと思う。徐々に分野を超えての学問が進んでいるのであろうか。