Chill

茂木脳講座。参考に観たDVDは歌劇トスカと、マタイ受難曲39番のアリアなど。
今回は感激とか戦慄を意味する“chill”に関する脳内活動の実験報告。結果から言うと、音楽(クラシック)から受ける戦慄と、food、sex、drugsなどで味わう快感(戦慄)とは脳活動的には同じものなのだということだった。なんとなんと。


科学の実験は純粋な結果を出すための設定に苦労がみえる。今回もそれがおもしろかった。
戦慄する曲の時に、脳内ではどんな動きをするか、そうでない曲(いづれも既知の曲)の時にはどうか。なるべく環境に作用されず、純粋なデータを取るために被験者を選ぶ条件として、8年間音楽教育を受けている学生男女それぞれ5名を選んだ。各自音楽的にいつも戦慄を覚える曲(記憶などに作用されない、なるべく純粋なもの)を各自一曲づつ挙げてもらう。そしてランダムに曲を90秒づつ流す。反応が低いものの値を比較として採用。それぞれに心拍数、筋、呼吸数を計測する。確かに(呼吸はあまり変化がない)だが、chillの値は山型の曲線を描く。


不思議だったのは、活動が(+)になる分野と(ー)になる分野があるのだ。概ね小脳・中脳・運動補足野・前頭葉など情動・運動系が上がる。視覚とか記憶の分野は下がる傾向にあった。
で、茂木健一郎氏が言うには、音楽による戦慄と美味しいものを食べたりドラッグの快感との間には、アプローチ、プロセスの上で違いがでているのだろうと言うことだ。そうかもしれない。まあ音楽鑑賞は高尚な芸術といっても、快感的には美味しいものを食べた至福感と同じだということだから、気軽の味わえばいいってことね。