関わり粒子

アーティストの卵、Hくんと彼の作品と話す。
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例えば…現代アートについて語っている輪があったとする。それなりに先駆的な話になっている。そこにAが登場するんだ。
A「聞いてたんだけどさぁ…だいたい君たち、アートという認識についての定義を確認しあっているのかい。それをしないでいくら議論したって不毛なんじゃない。Bくん、アートの定義は?その前に現代って何?近代とどこでどのような線引きがされているのですか? Cさんのアートの定義を教えてください」
い゛・う゛・う゛・・・・・
(またそこからかよ。確かに正論かもしんないけどー進まないんだよね)
(それはさー、話していて察し合うことなんじゃねーの)
(っていうか、いまは違うんじゃねーの、階層っていうかモードってのが)
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Aとは何人かの知人のことだ。出会いは大抵こんな場面。衣を羽織っちゃうんだね、最初は。衣をまとってないとトゲに刺されちゃうんだ、ナイーブな精神がさ。自分から飛礫を発射しながらきっと自分のちょうどの間合いを見ているのかも知れない。その儀式?が終われば、途端に衣を脱ぎ捨てて、深い話ができていくんだ。そういう連中って、先端的な感度や豊かな感性を持ち合わせているんだ、大抵ね。いいやつなんだけど…なんだかなぁ。だから、さみしいやつでもあるのさ。
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と、こんなことを話したくなるような粒子が、彼の作品、彼自身から飛んできた。それらの粒子は相手の思考の海からいろいろなものを吊り上げる。次々と。しかもその粒子は彗星のしっぽのようにあとをひくのだ。それを“関わり粒子”とでも名づけてみようか。なんだか大事な粒子のような気がしてきたから。