日本民藝館

駒場東大前駅にほどなく日本民藝館がある。年に一度の公募展。東北在住の手仕事をする友人に誘われた。都会の真ん中とは思えない、時間も空間もゆったりとした佇まい。民藝館を作り、民藝運動創始者である柳宗悦と格別の交友のあったバーナード・リーチ浜田庄司展が二階で行なわれていた。日常的なものを作品としてきたバーナードリーチの焼き物に特有の線を感じる。東洋器でありながら、西洋的な線とでもいうのだろうか。特に日本ではあまり見られないピッチャー(水差し)が良い。

一階は公募展の作品が所狭しと並ぶ。染め、織物、漆器、籠と多種類の民芸品。食器がやはり目を引く。展示品はどれも販売している。値段も手が届くものが多い。気に入ったものがいくつかあったけれど、すでに売約済ばかりだった。毎年人気で、初日には並ぶほどだという。民藝展だけあって、飽きのこなさそうな、日常的に使えそうなものばかりだ。民藝館の建物は柱や手すり床など、たっぷりと時間を費やしてきた“古さ”がある。このごろ時間を経過してきたものの味わいが、好きになった。

晩秋の空を見上げながら満足して帰路に。立ち寄ったカフェで熊谷達也の新刊『荒蝦夷荒蝦夷の資料と岡本太郎の東北関係の資料を交換しあう。東北を問い直す書とされている。縄文系の理想的社会に大和朝廷が攻め入ったという構図に「待った」をかけたという。興味ある題材だ。