おばさまパワー

知人から誘われて、織物作品の展示に行った。作品もだが、蔦の絡まる古い建物自体が大変に気に入った。青山通りの裏、人通りも少なく、明治か大正モダンの時代をそのままに残している。サロンは熟年の女性オーナーで、作家さんも同年代の女性らしい。知人の知り合いたちが企画、手伝いをしていた。

その年齢になると、目が肥えてきてセンスもアップ。長年続けている趣味にしても、収入源でないというだけで、腕もなかなかのもの。彼女らのパワーをバカにしてはいけないません。プラス志向で行動力、動員力はスゴイものがある。いつもお会いしている場で受ける印象とは全く違うのにビックリ。服装、振る舞い、目の輝きからして違う。すでの孫を持つ年代である。できる範囲でパートやボランティアなどで収入を得、趣味などで生活を謳歌している。知人は趣味が高じてささやかにも暖かい食堂を経営するに至った。

ちょうど車中で読んでいたのが『女はすべからく結婚すべし』女はすべからく結婚すべし (中公新書ラクレ)。著者の島田裕巳氏はおじさん世代。異論も覚悟でこの時期にあえて説教臭いことを言いたくなったのだろう。彼は女子大の教授だったことがあり、ある実感を持つ。同じ女子大の教授で、元祖おじさんの内田樹『待場の現代思想街場の現代思想にも同じ感覚のことが書かれている。

確固たる幸せ観を持たず、なんとなく結婚せずにいる女性に、「結婚してこそ、見えてくるものがあり、かつ、やりたいことができるのよ」。ワン世代上のおばさまたちのパワフルなオーラに触れながら、若年おばさんはそう思うのでありました。