作られてきた清潔観

針灸師の友人が上野圭一氏を囲む会をした。誘いを受け、返事をしていなかったら、連絡が入った。今日だった。予定を変更してそちらに参加する。

一度お話を聞いたことはあるが、私は彼の翻訳したものに、より興味を持っていた。アンドリュー・ワイル氏の『人はなぜ治るのか』人はなぜ治るのか―現代医学と代替医学にみる治癒と健康のメカニズム『癒す心、治す力』、ロバート・フルフォード『いのちの輝き』いのちの輝き―フルフォード博士が語る自然治癒力など、興味引く名著が多くある。いまはオルタナティブな医療(代替医療)の普及に尽力しているようだ。

ざっくばらんな場で会話を楽しんだ。医療の流れをよく調べ上げている人で、目からウロコだったことがある。今の医療体制や清潔観が形成されてきた2つのターニングポイント。
1つは、明治に発布された法律で、国は西洋医学を正式な治療法として採用し、従来のものは民間療法として信用のないものとされた。
2つ目は、戦後マッカーサーの指令で、不衛生で野蛮なものとして針灸治療の禁止令が出された。

現在のような清潔観念は近代になってから、外国の影響で作られた意識であるということは知っていたが、明らかに東洋医療禁止の法令があったとは・・・2つとも「国家」を成立させる際に起きた動きである。それが「今日の常識」になっているのだ。国家つくりの時の衛生思想啓蒙に関しては小野芳朗氏の『清潔の近代』「清潔」の近代―「衛生唱歌」から「抗菌グッズ」へ (講談社選書メチエ)に詳しい。オススメ品。