児童文学のシンクロ

新聞を見てビックリ。「おおぅ」、前回に書いた神沢利子さんの顔写真が出ているではないか。すでに80歳になられていた。何十年も前に一度お顔を拝見したことがあるが、その時より若々しいくらい。小学館児童出版文化賞を受賞されたという。「少し毒気があったほうが童話は面白くなる。けれど最近はつい愛に満ちた話になってしまう…」とこぼす。子どもたちに愛しさばかり感じるようになってしまったそうだ。デビュー当時は「児童文学は真面目すぎ。もっと子どもの心に届くように、軽いものを書かなきゃ」と思っていたそうだ。それがいまは「これでいいの?」と思うくらいのものがある。わかる気がするなぁ。いろいろなことを経験して、「ただ存在がかわいい」、「それだけでいい」、みたいな心境になっていく。若いときは逸脱や冒険、反発しても心境が変わってくる。その年齢年齢で役割があるのではないだろうか。受賞作品は『鹿よ おれの兄弟よ』(福音館書店)。やはり幼少期を樺太で過ごし、そこで出会った少数民族大自然から影響を受けた世界観をお持ちのようだ。