年輪のある家

毎年小田急線のK堂で行なわれている街中アートの企画に知人が参加しているので、散策がてら見に行く。はだ寒いくらいの陽気が歩きまわるには気持ちがいい。うす暗くなってから路地を入ったところにある一軒家を見つけた。夫婦でやっている工房だ。男性は舞台衣装、女性は手紡ぎと染めの作品を作っているらしい。洋風の家庭的な家。昔流行った小坂明子の「あなた」という歌を思い浮かべるような佇まいだ。芝?の庭にはおおきなテーブルが置いてあり、女性がお茶を飲んでいた。いい感じ。

先日大田区の友人の実家にお邪魔した。そのお宅もいいなと思った。築50年は経っている。家族の変化に増築したりして手を入れながら暮らしてきた様子が伺える。竹の生垣だ。古くて小さいが、丁寧に楽しんで暮らしてきた住人を反映させているようだ。なつかしいような、こころの居心地よさがある。

こんな家がいいと思った。歳月を蓄積させてきた古さは、人工的に作れるものではない。それだけの月日を費やしてきた歴史の厚さというか、年輪。それらに包まれることで、癒されているものがある、と感じる。我が家も相当古くはなったが、そういう厚みは出ずに、ただ煩雑になるのみ…嗚呼。