拾いものな読みもの

本類に混じって冊子類や資料の紙片もたくさんある。それが片付かない。処分しようと手にとって、きちんと読んでから捨てようと、目を通した。面白い文章があった。(捨てられないじゃないか…)
ずいぶん前の『ちくま』だ。重松清×玄田有史対談。玄田氏はフリーター研究から今どきの若者について発言していた。共感したところをあげてみたい。
・「自分の力で一歩入っていくことに非常に慎重だし、傷つき易い」
苅谷綱彦氏の言葉を取り上げている・「いまの教育は『自己実現をすればいいんだ』『自分発見すればきっといいことがあるから早く<自分らしさ>を探しなさい』みたいなことを言うけれど、そのプレッシャーによって、追い詰められている子のほうが多いんじゃないか」と引用し、同意している。
・「不安」の対極にある言葉は、いまは「安心」や「安定」じゃないと思います。やっぱり、ある種のリアリティみたいなものでしょう。−略ー僕の中では「リスク」がリアリティーを持っているんです。

そして、彼は必要以上に、夢と希望を説くことに警鐘を鳴らす。面白いと思ったのは経済学者として、「若者の雇用について聞かれれば『わからない』と答えるだろう。けれどその『わからない』はしっかり悩んでからのことであり、わからない、間違っているかもしれないという事を前提にして、物事に取り組みたい」と言っているところ。彼はまた、社会の枠の外に在ることがマイノリティの本質だとして、それに注目している。インサイドではなく、アウトサイド。これは鏡・茂木氏のスタンスだったなぁ。私も玄田有史氏を注目してみたい。