絵本と仮想力

以前はココに書く前に下書きをしていたが、手間にもなってきたので、画面に直接書くことにした。そうなると、手が勝手に書き出して、書こうかと思っていなかったものを書いたりする。後日必要で読むと、自分勝手な文も多い。それはそれでいいや、と思うことにした。

Sに頼まれて小さいときに読んだ絵本を持っていった。独りで暮らすようになって、かつて読んだ絵本を何度か所望してくる。手渡しながら、しばし絵本談義。いま、昔読んだ絵本の思いを聞くのは面白い。「へえ、そんなふうに感じていたの?」「そこからそんなことを思っていたの?」という感じ。子どもより母のほうが絵本に夢中になってしまったので、どうしても母の好みが優先した。もちろん彼らの好みもあるけれど…。だから彼らの感想は新鮮。

ホコリまみれの本棚からすでに何冊か抜き出している。ということは、残っている本はIのお気に入りってことか…と変な感慨に襲われる。いわむらかずおの13匹シリーズやエズラ・ジャック・キーツのピーターシリーズなどだ。性格の違いか性差か、それぞれに好みがあった。

持っていった中に『てぶくろ』があった。子どもがともにお気に入りで、何度読んだことだろう。荒唐無稽、根も葉もないお話だが、子ども達はすーっと物語に入り、十分に想像を巡らし、再びすーっと現実に戻る。それが自然にできている本が、読み継がれてきたのだろう。『てぶくろ』は昔からあるロシアの本だ。森で落とした手袋に、ねずみからきつねいのししと、どんどん動物が入ってくる。落としたおじいさんが、拾いに戻るまでの一瞬のできごと。

いま受けている脳科学講座のテーマは「仮想する」。資料は大人の映画が多いが、絵本を読むという事は、仮想行為がめいっぱい行なわれているということ。それがこころの豊かさにつながり、創造性につながる? 講師の茂木さんはきっとそんなあたりを意識しているのではないかと想像する。