障害を障害にしない技

20日の茂木健一郎講義は「Scale Error」。テキストになった文献は一般児の2歳前後の一時期に現れるScale Error現象を捉えたというもの。日常の仕草を捉えたのは貴重なことらしい。
手のひらに乗るような人形用のイスや車、滑り台に自分も乗ろうとする行為をビデオが捕らえている。(かわいい仕草だったけど)1歳半まではそこまで遊べず、2歳半を過ぎると、もうそういうミス行為はしなくなる。それが座るものとか、乗るものだという形状の認識はできているが、大きさの認知がまだ足りないということだろう。まさにはかり間違い。

それは段階的に起きる発達のアンバランスだが、訂正されないままになっていることもあり得るのではないか…。スケールもここでは見えるものだが、見えないものの場合はどんな行為になるのだろう。精神の障害とか、ボケなどにこの例があてはめられないのか…など、話を聞きながら妄想が膨らむ。

その翌日、つまり今日「ディスレクシア」を取り上げた番組に出くわす。知能的には問題がないが、読み書きに支障がでるという、ちょっと不思議な障害。例えば発達過程で起こる鏡文字。たいていは何度か指摘すれば訂正されるが、それが中高生や、大人になってもあまり改善されない。簡単なスペルや整った文字が書けないなど症例は多様。障害と認められたイギリスの取り組みを紹介していたが、日本では遅れている。まったく知られていないものね。いじめや不登校児の中にもいるだろう。知能はかえって優れていたりするから、対応はむずかしい。サバンという症例は幼児期から写実能力は天才的だが、抽象能力(幼稚な絵が描けない)に欠けるという症例も思い出す。

イギリスでは著明人が「ディスレクシア」のカミングアウトがあるらしい。アインシュタインは有名だが、トムクルーズ。なんと台本が読めなず、スタッフにサポートしてもらっているという。弁護士。書かずに録音したり、秘書に書類を作ってもらったり。レストランのシェフ。と、みんな障害を受け止めてそれなりの対処をして名をなしていた。それに対して日本で取り組む教授は「ただ、みんながそんなレベルに達するわけではないから、過剰な期待は禁物…」みたいなコメントをした。ああ、実に日本的コメント。