人間の領域

新宿の青山ブックセンターの閉店後には、ブックワーストが入った。初めて行ってみた。すぐの開店とあってか、レイアウトなどはそのまま。前より閑散とした感じではあった。
雑誌『風の旅人』(ユーラシア旅行社)を買った。「これは採算取れてないだろう」と即座に思うくらい、すばらしい写真と濃密な執筆陣である。今回のテーマは「人間の領域」。

最初のページには白川静氏の直筆の原稿が載っている。癖のある自体だが圧倒される言葉が連なる。
<<人は生物学的に言えば「霊長類、ヒト科の動物」ということである。しかし動物と言うにはあまりに賢く、またあまりにも愚かである。―略― もとより自然の世界は、弱肉強食である。ただそれは、自然界の生体系を維持するために、神が命じた、一の無条件的な秩序である。しかし、戦争や犯罪や飢餓は、神が設定した予定調和の中にはない。―略― 神とは名のないものである。唯一にして無辺際であるがゆえに、名づけがたいものである。無名は天地のはじめ、その天地のはじめに帰る以外に、現在を救済する道はない。
―後略――>>
いまの人間のしている状況を見ていると、世界は神から見放されたかのようだと言い、しかし光明はあると言う。真に霊活なる自然の力がはたらけば…。全文は引用できないが、ズシンとしたものを感じた。このごろの気象、事故や事件に「人間の触れられる領域」という言葉を思っていた。いいタイミングの出会い。

その後、待ち合わせのI氏に見せると、編集長とはお知り合いなのだと言う。これも奇遇な話。