長沢節

文京区の根津にある弥生美術館に行った。いまやっている長沢節展のイベント。unaスペースのO君がモデルで出るという。長沢節は1917年生まれ。1999年に82歳で亡くなるまでバリバリ現役だった。ファッション画と言われて思い描く、画風はきっと彼のものだ。元祖じゃないかな。戦中あまりに痩せた女性を描くので不健康なイメージを招くと制作中止になったこともあるそうだ。

その彼が70年代に行なった「ユニセックス」ファッションショーの再現だというので出かけた。なつかしいが、決して古くない。今でも斬新で充分挑発的だ。(中にはキモいのもあるにはあったが…)靴は当時のものだと言うが、カッコイイ。意外に歩き易いのだそうだ。昔履いていたお気に入りの靴を思い出した。

戦後セツモードセミナーを開設。たくさんのデザイナー、イラストレーターが巣立った。花井幸子、金子功はじめそうそうたるメンバーに驚く。本くにこや宇野亜喜良、寺門孝之、井筒啓之などイラストレーターもすごい。あまり彼を知らなかったのだが、たくさんの資料を見ていると、独特の人生観を持っていたようだ。弱弱しさにスポットをあてたり、教え諭すことや評価をしない教育をしたり。生涯独身を貫き、自身の独自の自由な美学を生ききった人だ。一言で言えば生き方もスタイルもカッコイイ人。弱さや細さを好んでいるようだが、本人は筋の通った強さを備えている。孤独と向き合った岡本太郎のように反骨と気骨のある人だった。