日本の青空

ボディワークのあと、友人の勧めで映画「日本の青空」(大澤豊監督)を観た。終戦を迎え、憲法学者鈴木安蔵を中心とした民間人のグループ「憲法研究会」が自主的に新憲法の草案を作っていた。鈴木氏は戦前戦中と思想弾圧や投獄など、つらい生活を強いられてきていた。

彼らの草案を目にしたGHQは、完成度の高い草案に驚愕する。政府の提出した明治憲法を継ぐ旧態依然とした憲法草案に比べ、民主主義を貫いた完成度の高い草案に仕上がっていた。彼らはそれを大いに参考にし、平和憲法が誕生したという物語。

政府側(松本烝治委員長)の提出した草案は旧態依然として、とても民主的とは思えないものに対して、鈴木らのそれは自由民権思想など日本の歴史なども反映されていてなかなかすばらしいものであったらしい。

ジャン・ユンカーマン監督の「日本国憲法」やGHQ側の通訳として男女平等の文言を作成したと言われるベアテ・シロタ・ゴードンさんの講演も聞いてはいたが、日本人の監督の手による民間の日本人の動きに焦点を当てた映画は非常に興味深いものがあった。

雑誌編集者が鈴木安蔵氏のご家族にインタビューするという現代の話から物語はスタートする。物語の中に当時の実フィルムがたくさん挿入されていて、それが違和感なく融和している。見たことのない映像もたくさんあり、当時の人々の想いがよりリアルに迫ってきた。国防の項は熟慮の末、空白にしたというエピソードには苦悩がうかがえる。

会場には鈴木安蔵氏の娘さんがいらしていた。一度観ておくのもいいと思う。ただし、一部のキャストに難あり。

日本国憲法誕生―知られざる舞台裏

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