アートとメディアにおける「批評性」

どなたかは失念してしまったが、「芸術とは『反権力』なんです。従って、芸術家はそうそう安穏な人生は送れないものです」と言っている人がいて「そうだよなぁ」と思っていたら、脳科学者の茂木健一郎氏がこのごろ盛んに批評性について言っている。「いま画学生に批評性が足りない」といった感じで。
そんな折り、ドキュメンタリー作家森達也氏の話を聞いた。彼も「メディアは『反権力』なのです。右派でも左派でもなく、権力には抗っていくのがメディアの役割」と言い、昨今のメディアは批評性を喪失していると嘆いていた。

スキャンダラスな事件が後をたたないが、確かにそれを扱う報道番組はバラエティ番組と区別がつきにくい傾向にある。事実レベル、噂レベル、中傷レベルが入り乱れた単なる情報を流す番組。そんな感覚はある。そんななかで「メディアは反権力なのです」と言ってみても、スルーされてしまうのだろうなぁと思う。

そもそも「反権力」、「批評性」というものがピンとこなくなっているのでは。イメージが湧かないのかもしれない。批判や単なる破壊、誹謗中傷ではないはず。また戦時下ではなく、一応平穏な世の中では、強引に拘束したり、投獄したりというような、あからさまな姿で権力が存在するのでもない。アートの批評性については、私自身もイメージが湧かないが、真綿のように、ふわふわして、耳障りがよかったり、感触がよかったりするなかに、潜んでいるかもしれない。まずそれを知覚することからだろう…。


どなたかは失念してしまったが、「芸術とは『反権力』なんです。従って、芸術家はそうそう安穏な人生は送れないものです」と言っている人がいて「そうだよなぁ」と思っていたら、脳科学者の茂木健一郎氏がこのごろ盛んに批評性について言っている。「いま画学生に批評性が足りない」といった感じで。
そんな折り、ドキュメンタリー作家森達也氏の話を聞いた。彼も「メディアは『反権力』なのです。右派でも左派でもなく、権力には抗っていくのがメディアの役割」と言い、昨今のメディアは批評性を喪失していると嘆いていた。

スキャンダラスな事件が後をたたないが、確かにそれを扱う報道番組はバラエティ番組と区別がつきにくい傾向にある。事実レベル、噂レベル、中傷レベルが入り乱れた単なる情報を流す番組。そんな感覚はある。そんななかで「メディアは反権力なのです」と言ってみても、スルーされてしまうのだろうなぁと思う。

そもそも「反権力」、「批評性」というものがピンとこなくなっているのでは。イメージが湧かないのかもしれない。批判や単なる破壊、誹謗中傷ではないはず。また戦時下ではなく、一応平穏な世の中では、強引に拘束したり、投獄したりというような、あからさまな姿で権力が存在するのでもない。アートの批評性については、私自身もイメージが湧かないが、真綿のように、ふわふわして、耳障りがよかったり、感触がよかったりするなかに、潜んでいるかもしれない。まずそれを知覚することからだろう…。