見えないものを記録する

年々外界からの刺激に対しての耐久性が弱体化している。暑さも寒さも湿度も…。痛さに対しても同様である。長年の頭痛も、いままでは嘔吐しながら薬も飲まず(効かないし)、頭を抱えうんうんと唸って通過させていた。だが、このごろは少々辛くなった。寝ていてもろくでもない夢ばかり見る。それでよけい気が滅入ってしまう。
ついに医者嫌いが、一度診てもらう決意をした。友人が教えてくれたオルタナティブな医療施設に予約を入れた。で、予約日の昨日、体調不良のままに出かけた。学園や桜並木が続く道程がまず気持ちよかった。早めに着いたので、ゆっくりと学生時代のことなどを思い起こしながら歩いた。(そういうのって大事)

医者でありながら代替医療も修めた人たち何人かで運営している施設だった。検査と丁寧な問診で、低下しているパワーをとりあえず回復させて、症状の軽減を図ることになり、1ヶ月分の漢方薬をもらった。果たして好転するであろうか。乞うご期待というところである。

で、初期検査のなかで、えらく感動してしまったものがある。東洋医学では「経絡」というものを重視する。言わば気の流れである。それを測定する機械があったのだ。気の反発力を電気信号にして数値化したようなものではないかと推察する。その値と症状が関係つけられていて、患者情報として記載されてくる。その項目があまりにぴったりかんかんで、ビックリしたのだ。N医師も言われていたけれど、私のような症候は、脈・心臓・血圧などに異常はなく、病院に行っても気のせいだとか、加齢のせいでしょうくらいで済まされる類いのものである。

それが症候として、くまなく感知されていた。例えば・・・筋肉のこりや痛みが、腰や肋間、頚背部にでます。首筋から背中への痛みや腰痛。後頭部の痛み。肩甲部や上肢に痛み・こりがあります。ーーーいくつかの経絡から同様の指摘。実はこの朝、起きたとたん、寝違えたのか、左半分の首から背中にこりと痛みがあり、動かなくなっていたのである!頭痛の部位まで正解。

また、足腰が冷えたり、疲れやすくありませんか。発汗の異常はありませんか。食欲異常(摂取量や時間の不規則)。ーーーまんまである。なんでわかるの?って感じ。
さらには、歯痛、口唇の乾き、喉の痛み、など口の中に異常が見られます。のどの奥の異常。ーーーこのところ冷気アレルギーか花粉症かで、明け方からクシャミと鼻詰まりに悩まされ、口呼吸のせいか喉も痛くなっていたのである。自分でも自覚せず、主訴にもしなかった事項なのであった。

恐るべきというか、東洋医学からみればあたり前というか…。西洋医学では認識されない部分が、科学的な手法で目に見えるようになってきていることに、期待感。それは、“気の流れ”という統合的な視点での異常なのであり、こりや痛みという局所的な問題を取り上げても、解決しないのである。トータルで変調をきたしているものは、トータルな処方でしか対処できない。従来の分析、分類する手法に対応してきたアプローチでは、アクセスできないということであろう。“気”を診るという極めて個人的な感性(勘性)に委ねられてきた処方・施術が、科学的に記述されてくれば、切り捨てられてきた病いや不全に対して、光がさすかも知れない。