“べてる”というリトマス紙

何度も繰り返し観ても飽きない映像がいくつかある。そのひとつ「べてるの家」のビデオを観た。精神障害者自身が、自立した社会復帰を模索しているコミュニティ。登場人物は当事者ばかりだが、毎回彼らの言葉にハタとなる。障害者が産んだ赤ちゃん。その誕生に、周りのみんなが幸せになっているという。小さな命の存在のもたらす力。またキツイ症状で悩まされてきた人が「『生きているだけで価値がある』と思えるようになった」と言う。それらのことは私達の目の前にある。が、あたりまえ過ぎて、見逃してしまう。普通の暮らしを失った人たちが、ゼロから掴み直した言葉には実感がこもっている。毎回違う言葉が入ってくる。どれもが「それなのに、あなたはどうよ」と問いかけてくる。