歩く、あるく

義母の見舞い。傷口も順調で、ホッチキス(?)が取れ、点滴もなく、スタスタと病院内を散歩するまで回復。新宿の摩天楼が見える部屋でお茶をする。ここからの景色が気に入っているらしい。消灯前にも来てみたと言っていた。用件を済ませ、日の入り間際にunaに向け歩き出す。荷物が少し重いのが難だが、空気は乾燥して心地いい。

町並が微妙に変わっていくのがおもしろい。その町々の空気ってあるんだな。巨大近代都市東京のど真ん中、にかかわらず、小さな暮らしのコミュニティがあちこちに散在している。ここがあの世界的大都市の真ん中なのかと意外な感想。ハイテクとかデジタルなイメージとは程遠い、アナログな町。直線的で無菌的なビジネス街と雑多でにぎわしい生活の町が、こんな近距離で同居している。ある意味あたりまえのこと。どこであっても人の営みはあるのだから。

涼しかったが、汗ばむころ見慣れた景色が見えてきた。あたりはすっかり暗くなっている、お腹もへってきた。飲食店の誘惑にかられながら、ひと我慢。50分ほどかかった。が、たどり着いたunaは映像カフェの今日は、盛況でご飯売り切れだって。ぎゃふっ。ひとり外食を済ませ、改めてスウェーデン作家の映像を観る。来店されていたアニメ作品を持参したアーティストと8ミリの作家さんと意気投合。映像企画一本成立。

もともと無目的に歩く、つまり散歩ということをしない人である。ぶらり旅もしない。そういう時間を作り出すのが下手なのだと思う。やってみると、歩くことは嫌いではないなと思う。学生の頃、長距離歩くという伝統行事があり、毎年挑戦していたことを思い出した。一日で50キロ以上を歩くのだ。そう言えば、今では想像もつかないが、山登りもしていたのだった。よし、歩くことを少しこころがけてみよう。