静かで強い

あまりに遅れたので会場外で躊躇していたら、ゼミ講師の茂木さんがドアをあけてくれたので恐縮しながら入室。アーティストの内藤礼さんをゲストに講義があったのだ。会場は満杯だった。私は直島などで家プロジェクトをされている方という程度の知識。実際の作品も画面でしか見ていない。前情報なしでお話を伺った。

第一印象はおとなしくて普通の女性。講義は会場からの質問に答える形。声も大きくなく、訥々と話されるので、必然的に一句一句の言葉に耳を凝らすことになる。てらいのない、しかし、意思のある言葉が聞かれた。

一番印象に残った言葉は「私は美しいものをつくりたい」、そして「その美しさには自信がある」とキッパリ言われたこと。こんなにきちんと言い切れることに驚く。よほどのことである。
そして「美しいものの力を信じている」といううれしい言葉。学生時代は何も作らなかった気がするという彼女が絵ではなく、身の周りにあるものをなんとなくちまちまとかたちにしていったという過程がまた興味深い。創造行為は独りである。アートは孤独な行為の蓄積なのだなぁなどと思いながら聞いていた。
「言葉では言えていないものが、作品に出ていると思う」、「生きていて、どういう感じがしたいか…」など、彼女の口から出てくる言葉は、目の前に存在している彼女と違わなかった。

いま銀座のギャラリー小柳で個展開催。ぜひ行かなきゃ。