すき間だらけの雑踏

地下道や駅構内の通路を歩いていて、流れと反対方向や、反対側に行かなければならないときがある。まともに向き合うと人の波が後から後から押し寄せていて、とても行けそうにない。けれど、ちょっと斜に位置し、自分の動きを流れの速さの合わせてみると、空いている空間がすーっと見えてくる。流れに抗いながら、その空間をぬっていくのは、ある種の快感である。

自動車なんかで考えるとわかりやすいかもしれない。(私はそういう芸当はできないが…)一列ごとに車間距離というものがある。人であっても同じ。それが列ごとにずれている。その空間をこちらの速度を合わせながら見出していく。

真正面からみると、「ワーッ」となりそうなくらい人、人、人、の群れだが、角度を違えてみると、意外な空間が見えてくる。それがおもしろい。そんなことを思いながら新宿の雑踏を歩いていた。