ワンランク上の困難

ボディワーク。丁寧な動きでからだを感じる時間だ。講師のFさんがある外国籍の人から「なぜ日本ではみんな様式トイレにしちゃったんですか?もったいない」と言われたそうだ。洋式トイレは楽だし快適だと思うが…。彼が言うには、毎日必ず何回かあの“しゃがみスタイル”をすることで、自然に足首や腿、腰を強くしているのだそうだ。言われてみれば、誰でもが必ず毎日何度かはしている運動である。そこにいた人の中にはそのスタイルができない人がいた。きちんとからだを保てず、後にひっくり返ってしまうのだ。「なるほどねぇ。こういうことかー」。楽な方向ばかりを選択していると、いつのまにかからだ自身が萎えているということなのだ。

ある高名な落語家の話を思い出した。お連れ合いの介護が必要になり、息子たちで一階にバリアフリーのスペースを用意したら「私を寝たきりにさせる気か」と怒られたと言う。日当たりがよくて明るい二階の方が健康的、だから二階がいいのだと。不自由ながらもできる限り努力し、回復していきたいという意気込みに、介護とか援助の意味を考えさせられたというもの。ちょっと目からウロコだった。

辛くても、からだ的にはワンランク上の困難に立ち向かわせたほうがいいということ。それが自愛、労わることになるのだ。重々わかっていながら怠惰な私…。