“べてる”の秘技

べてるという精神障害者の真の自立を考える施設が北海道にある。*1その様子が何本かのビデオになっている。それを観た。これはみんなで観るのがいい。なぜなら、何かを話したくなるからだ。その感想はそれぞれであり、その人のからだを通したリアルな言葉に出会える。一つの作品のような気がする。とにかくべてるは不思議な力を持っている。

  • 今日はここに来てビデオを観て本当によかった。なんて自然でやさしい世界。私も自然に笑ったり、泣いたり、こころの底からできた。
  • 川村先生*2の話が印象的。病者をあるべき姿へと抱え込み、方向つけていくのは治療者。病気を最も恐れているのは医者治療者だと言う。治療は誰のためなのか、という問いかけは、自分の問題にも関わってきて、するどいなぁと思った。
  • 「病気を持つことで損をしない社会をつくる」という川村先生の言葉が印象的。
  • 精神障害者の人たちはただ無邪気だけではなく、大人だった。酸いも甘いも経験した人の言葉だ。弱さは強さに変わる可能性が大いにある。自分の中にあるすべてを材料にして生きなければもったいない。「だめなところ」をどう利用するか、これから楽しみ。
  • べてるは改めて世の中は不安をあおって成り立っていると思わせる。私たちは健常者と思い込み、それをどこか支えにして生きているということは、不安の裏返しなのだ。不安から起こる世の中の諸々の動きに対して、人間一人ひとりの生き方に、ポッカリ穴をあけていけたらとつくづく思う。

*1:向谷地生良べてるの家の「非」援助論』など関連図書多数

*2:日赤病院の医師