人間は間違いを起こすもの

友人からのメールがきた。長い引用。

The Fog Of War(仮約・戦争の霧)と言う映画が、第76回アカデミー賞のドキュメンタリ−賞部門にノミネートされた。>
ロバート マクナマラ氏を主役にした回顧録のような映画のようだ。1945年3月の空爆の日、私はグアムにいた。私はこの作戦の一員で、いかに効果的かつ低コストで戦争を終結できるかを調べる米軍の分析官だった。空爆の主役は、43年末導入されたB29爆撃機ルーズベルトは、新型兵器(B29)を最初インドと中国に配備した。これは遠過ぎて失敗だった。結局、グアム、サイパンなど太平洋の島々出発拠点となった。我々は東京、名古屋、富山といった日本の主要都市に67回の空爆を加えた。日本はこの時点で壊滅状態となった。

原爆投下が必要だったとは思わない。賢明な選択ではなかった。ただ、戦争では国の上層部が全てを把握しているわけではない。これは私の強い印象だが、原爆投下決定したトルーマン大統領、マーシル陸軍参謀総長、スティムソン陸軍長官の3人は、3月の激しい空爆で日本各都市がいかに大きな害を
受けたか詳細に知らなかったのでないかと思う。原爆投下が無ければ核競争の時代の到来は避けられたし、北朝鮮の問題も起きていない。
キューバ・ミサイル危機にかかわったソ連フルシチョフキューバカストロ、そしてケネディ大統領は個人的には理性を備えた人間だったし、核使用は誰も望まなかった。しかし核戦争の一歩手前まで行ったのはお互いを理解してなかったからだ。相手への共感、感情移入がなかったからだ。人間は必ず間違いを起こす。理性のみでは危機を阻止できないということだ。残念ながらこの教訓は今も生かされていない。

20世紀に起きたことをしっかり見つめてほしい。我々人類は内戦や戦争でこの世紀に“1億6000万人”の犠牲者を出した。21世紀に我々に課せられているのは20世紀の悲劇をいかに繰り返さないという事だ。米国は全知全能ではないのだから、一方的に武力行使をするべきでない。20世紀の教訓の一つだ。<MSNニュースより>


当時、マクナマラ防衛庁長官という名前をよく耳にした。興味ある映画だ。少し前、TVのドキュメンタリーで、原爆を皇居に落とすという強い信念の、天才的米パイロットがいたという話を知った。危機一髪で回避できたが、怖い話だった。こういう話が時効成立のころポロリと出てくる。まあ最中は言えなかったのだろうが・・。友人曰く「欧米と違うところは、日本人は一人で引き受けて、墓まで持っていく人が多い気がするね」。だからなかなか真実が解明されないのかも。文中、「人間は必ず間違いを起こす。理性のみでは危機を阻止できないということだ」という言葉が示唆深い。


先日聞いた姜×宮台トークで思ったことだが、考えてみれば、よく日本という国が存続できたものだ。一方的に攻撃し、無条件降伏をした、世界からみれば、いわばならず者だった日本なのに。そうならなかったのは当時の為政者達が、それを回避するために、最大の智恵を絞り、交渉にあたったのか・・・。そのあたりの真実をあまりに知らないことにいまさらながら気がつく。


米ソや他連合国の微妙な関係もあってのことだろうが、よく分断もなく、植民地にもならずに済んだと言える。(平田オリザ氏脚本の「ヤルタ会談」を聞くと、連合軍間の駆け引きがよくわかる)イラクベトナムは私たち(日本)だったかも知れない。南北朝鮮問題は私たち(日本)の問題であったかも知れないのだ。