8月15日に思う

新聞に、日本以外に平和憲法を持つ二ヵ国の取材が載っていた。コスタリカパナマである。コスタリカ南北アメリカ大陸をつなぐ小さな国である。人口430万人。1949年の内戦後に軍隊の不保持を憲法に明記した。予算を軍事費の代わりに教育、医療、福祉に使い、中米で安定した社会を作ってきたという。この国は資源がないため、人材育成に力を入れているそうだ。教育では「平和や人権のことを意識する人」を育成し、政治にも関心が高く、投票率は70%を越えるという(すごい数字だね)。

それでも隣国のニカラグア、コロンビアからの不法入国などで、治安は悪化していると言う。国内の治安維持には国家警察隊というものがあり、銃の使用が許可されている。米国と中南米との間には日米安保のような条約もあり、有事の時には協力しなければならない機構もある。

そう理想卿のようにはいくはずはないが、取材記事を読む限り、国民が自覚的であること、そして中米の平和維持にリーダーシップを発揮して、軍備を排する夢を捨てていないというところが、なんだかいいなぁ、と思ったことである。

一方パナマはちょっと事情が違った。運河の利権に絡む複雑な事情を持つ国である。軍隊を持たないとしたのは、1994年(非常時には特殊警察を一時的に組織するのは可能)。89年米国の軍事侵略を受け、国防軍は解体した。99年米国はパナマ運河を返還し、米軍も撤退し、晴れてパナマからは軍隊がいなくなった。

利権が生じる運河がある限り、完全に安定とは言えない。しかし、パナマの危機を救うには膨大な予算をかけて防衛するより、中立を保つのが最も経済的で安全だと結論したそうだ。その方針は、国民の支持を受けているという。国内治安維持には国家保安隊という警察組織がある。米軍は有事にはパナマ運河条約により、いつでも介入できることになっているというし、パナマは危ういバランスの上に存続している国のようである。

軍を持たない国の成り立ちは少しづつ違うが、それでも同じ選択をしている国として、もっと人や情報が行き来したらいいのに、と思う60回目の終戦記念の日でした。